WOWとデザイナーたち
1990年、旭川家具のさらなる発展を目指しスタートした「IFDA(国際家具デザインコンペティション旭川)」は、3年に一度開催される家具デザインの祭典で、現在では世界が注目するデザインコンペティションへと成長しました。2024年時点で世界77カ国から10,000点近い作品が応募されています。
先駆者たちの情熱と、世界中のデザイナーたちの創造性が生み出したIFDAは、若き才能を育む登竜門として、いまやその地位を確立しています。
デザインと
機能性の葛藤Design and
Functionality Conflict
IFDAに応募された作品のうち、現在50点以上が旭川家具として製品化されていますが、WOWも「SORAHE」「half chair Op.1」「PALAPELI」などのデザイナー作品を製品化しております。
デザインを忠実に再現するだけでなく、「使い心地はどうか」を常に考え続けています。“使われてこそ家具”という信念のもと、いつまでも長く使い続けてもらえるように、機能性を妥協せず追求しています。
そんな中で、以下にご紹介する「SORAHE」「half chair Op.1」「PALAPELI」は、デザイナーと作り手が何度も試行錯誤を繰り返しながら生み出された製品だといえます。
SORAHESERIES
2005年のIFDAで栄誉ある最高賞「ゴールドリーフ賞」を受賞した「SORAHE」は、弊社にとって思い入れのある作品のひとつです。
そしてSORAHEの製品化を経て、素材の特性の理解が深まるとともに、成形技術が蓄積しました。
このノウハウは、のちの「half chair Op.1」の製品化に活かされることになります。
half chair Op.1SERIES
「half chair Op.1」は2011年のIFDAでゴールドリーフ賞を受賞したチョン・ウジン氏の作品です。ご縁をいただき、弊社が製品化をさせてもらいました。
“目的やコンセプトがデザインを方向づける”をまさに体現したかのような素晴らしい造形で、暮らしに合わせた家具づくりを目指すWOWにとって、運命的な出会いともいうべき作品でした。
「Op.2」は、サイズ・形状・座面をファブリックなど、前作「Op.1」とはまた一味違った使い心地で、より細かいニーズに合わせてお選びいただけるようになっています。
PALAPELISERIES
北欧家具の聖地・フィンランドのデザイナーであるミッコ・ハロネン(Mikko Halonen)氏の作品です。旭川家具メーカーと連携し、数々の製品を生み出しているハロネン氏は、幾度もIFDAで入選している実力者です。2017年のIFDA応募作品「Korento」というチェアでは、栄えあるゴールドリーフ賞を受賞しています。
IFDAはデザイナーとメーカーが出会う場としての役割を果たしており、そのおかげで弊社はハロネン氏とのご縁にめぐまれました。PALAPELIは、IFDA2014の応募作品のひとつでした。
メーカーが製品化候補を選ぶ際、その時点ではデザイナーの名は明かされていません。このとき弊社が直感的に魅力と感じた作品が、PALAPELIの他にもいくつかありました。実はそれらはほとんどハロネン氏の作品でした。不思議なご縁を感じたのを覚えています。長く厳しい冬を快適に豊かに過ごすために生まれたフィンランドの家具。同じ雪国として、WOWのスピリットと共鳴する何かがあったのかもしれません。
蛯名紀之
1958年北海道美瑛町生まれ。
1982年に北海道東海大学芸術工学部デザイン学科を卒業後、剣持デザイン研究所に入社。その後、スタジオ・コムテック、株式会社インテリアセンターとキャリアを積み、1992年にPRIME DESIGN OFFICEを設立。国際家具コンペ旭川96では日本人として最高の成績となる銀賞を受賞した。WOWではAKKORD(アコルト)、REIN(ライン)を製品化。
桐本隆士
1973年、香川県高松市生まれ。
1998年に武蔵野美術大学大学院終了。ミラノへ渡り、家具を中心にデザイン活動。2005年には「SORAHE」でIFDAのゴールドリーフ受賞。現在はイタリアメーカーや、日本のメーカーとの商品開発を手がけている。
チョン・ウジン
1976年韓国生まれの家具デザイナー。中央大学建築学科卒業後、スウェーデンとフィンランドの名門大学でデザインを学ぶ。特に、フィンランド・アルト大学で家具デザインを深く研究し、その成果を2011年の国際家具デザインフェア旭川で発表。革新的な作品「ハーフチェア」が高く評価され、最高賞のゴールドリーフを受賞した。
ミッコ・ハロネン
フィンランドを拠点に活躍するデザイナー。ラハティ応用科学大学、アールト大学でデザインを学び、コルホネンの家具工場で曲木の技術を習得。
2010年に自身のスタジオを設立し、プロダクト、家具、空間デザインなど幅広く手がける。氏が手掛けた「PALAPELI」は惜しくもIFDAの選外となったが、そのデザイン性に惹かれたWOWがコンタクトをとり、製品化が実現した。
佐藤界(FULLSWING)
1976年東京都出身。
住宅、店舗などの現場監理の経験を経て、設計事務所に勤務。デザインから施工までを総合的に経験を積み、2003年よりFULLSWINGとして活動。家具や日用品のデザインを中心に、住宅やオフィス、店舗などの特注家具や空間デザインも行う。「log」、「BOOK RACK」をWOWオリジナル製品のラインナップに加えた。