暮らしに寄り添い、暮らしを変える。
ドイツで学んだ機能美の哲学。
旭川は明治期以降、全国から木工職人が集結し、日本有数の家具の産地として発展してきました。早くから旭川市が職人育成に力を入れていたことも、産業が育った理由のひとつです。
それを象徴するのが「海外木工技術研修生」でした。1962年、ヨーロッパの洗練された技術とデザインを学ぶため、旭川市が代表者数名を海外木工技術研修生として西ドイツに派遣。創業者・野原壽二が海外木工技術研修生の第三陣として西ドイツへと渡ったのは、1968年のことでした。
当時のドイツの家具といえば、「バウハウス」の影響を受けた機能的なデザインで知られていました。バウハウスとは、芸術と工芸を融合させ、機能美を追求したドイツのデザイン運動です。その思想は、北欧家具をはじめとする後のモダニズムデザインに大きな影響を与え、戦後の新たな生活様式を創造しました。
そして創業者はドイツで、弊社の原点ともいえる「システム家具」と出会います。
メーベルトーコー設立。システム家具メーカーとして成長を遂げる。
創業者は帰国後、1972年に「MÖBEL TOKO」(メーベルトーコー)を設立。西ドイツで学んだシステム家具をつくりたいという想いからでした。MÖBELはドイツ語で「家具」を意味し、TOKOは創業者の勤めていた会社「東光産業」に由来しています。
メーベルトーコーは、サイドボードやキッチンボードを手掛ける一方で、ユニットを組み合わせてカスタマイズできる「システム家具」を並行して製作しました。1980年には、主力製品となるシステム家具「アンデス」シリーズを生み出すことになります。
家具は人々の生活スタイルと密接に関わっています。家具に暮らしを合わせるのではなく、暮らしに家具を合わせていかなければならない――この考え方が、メーベルトーコーの家具づくりの根本的な指針となっていたのかもしれません。
設立50周年。WOWとして新しい一歩を踏み出す。
おかげさまで2022年に設立50周年を迎え、社名「WOW」として新たな歴史がスタートしました。「WOW」には、「感嘆の言葉=Wow」と、「価値ある木=Worthy Wood」という2つの意味を込めています。見ているだけでワクワクするデザインや、「使ってみたい」と思わず言いたくなる機能美。家具を通じて喜びや驚きを感じることで、かぎりある木が、“価値ある木”として暮らしの中に息づきます。
弊社は、数えきれない人のご縁によって支えられてきました。多くの方々との共創によって、成果を築き上げることができました。
振り返ってみると、すべての始まりは、海外木工技術研修でした。
創業者がドイツの家具づくりを学ばなければ、「システム家具をやりたい」という情熱を持つことはありませんでしたし、そもそもメーベルトーコーは誕生しませんでした。これからも私たちは、この歴史を礎に、新たな挑戦を続け、お客様の期待を超える製品を提供することで、社会の発展に貢献してまいります。